今回は骨導補聴器についてお話します。

 以前に当ブログの「補聴器の種類について その2」で骨導補聴器について

少し触れましたが、今回はもう少し踏み込んでお話しします。


 
音の伝達について 

 まずは骨導補聴器の説明の前に、音の伝達についてお話します。

 音は何かを媒体にしなければ伝わることがありません。媒体は主に

気体、固体、液体 に分けられます。

 そして、これらの媒体を振動させて音は伝わっていきます。

気体の場合は主に空気を振動させて音が伝わります。また、水中では

水を媒体として音が聞こえます。固体の場合も同様です。映画などで

電車のレールに耳をあて、電車の接近を察知するシーンなど心当たり

はないでしょうか。あれはレールから伝わる音の振動を聞いています。

 私たちの身の回りの音のほとんどは、空気を媒体として聞いています。

会話、物音、音楽など空気の振動を耳で聞いています。


耳の穴から内耳までの伝達について

 耳の穴に入った音はまず鼓膜を経由します。

空気の振動である音が鼓膜にぶつかると、鼓膜が振動します。

鼓膜の裏側には耳小骨と呼ばれる小さな骨がくっ付いており、

鼓膜の振動を増幅します。耳小骨で増幅された振動を内耳で感じ取ります。

内耳の中はリンパ液で満たされています。内耳に振動が伝わると、

このリンパ液が振動し、それを感じ取り聴神経へ伝えます。


 鼓膜までは音は空気を媒体としていますが、鼓膜にぶつかって耳小骨

を経由する際には媒体は空気ではなく、固体に変わっています。

さらに、内耳ではリンパ液を媒体としていますので、媒体は液体になります。

 耳の穴では気体、鼓膜から内耳の入り口までは固体、内耳は液体を媒体

として音を伝えているのです。

 
 媒体を気体からいったん固体を変換して内耳へ伝えるのには理由があります。

それは、気体から液体へ振動を伝えようとすると、大きく減衰してしまうからです。

例えば水の中に潜った状態で、水上から声をかけられてもとても小さな音でしか

聞こえないはずです。

 そこで固体を経由して液体へ振動を届けることで、媒体が変わることでの

減衰を減らすことが出来ます。これが鼓膜、耳小骨の役割の一つです。

音は鼓膜、耳小骨を経由することで効率的に内耳へ届けられます。
   mimi
  

骨導補聴器の効果

 さて、ここからが骨導補聴器のお話になります。

骨導補聴器は耳のどの部分に支障があり、難聴になったのかで、補聴効果が

とても大きく変わります。

 耳の穴、鼓膜と耳小骨、内耳 これらの部分で耳の穴と鼓膜、耳小骨に支障

がある場合に骨導補聴器は有効です。


 耳の穴、鼓膜、耳小骨は音を内耳へ効率的に伝えるのが役目です。

 もし耳の穴が塞がっている状態であれば、鼓膜まで音が届きづらく、

もし鼓膜、耳小骨に異常があれば、内耳へ音を伝えるのが困難になります。

 そこで耳の穴、鼓膜、耳小骨を経由しない別の方法をとることで、難聴を補う

のが骨導補聴器です。骨導補聴器は頭蓋骨を振動させ、内耳へ音を伝えます。

よって骨導の場合、振動の媒体は頭蓋骨である固体になります。

上記のとおり固体から液体へは、効率的に音を伝えることが出来ます。

耳の穴(気体)→鼓膜、耳小骨(固体)→内耳(液体)が本来の音の経路ですが

骨導補聴器の場合は 頭蓋骨(固体)→内耳(液体) の経路になります。

耳の穴、鼓膜、耳小骨の経路がうまく機能していないのであれば、代わりに

頭蓋骨を経由させ、内耳へ音を伝える、というのが骨導補聴器の役割です。


 一方、内耳に支障があるため、難聴が生じている場合は、骨導補聴器は

あまり効果的ではありません。鼓膜を経由しても、頭蓋骨を経由しても、音を

感じ取る部分は内耳です。その内耳自体に支障がある場合は残念ながら

骨導補聴器の効果は得られにくいです。

 年齢を重ねるごとに現れる加齢性難聴(以前は老人性難聴)は内耳に支障を

きたす場合が多く、この場合は骨導補聴器の効果を得ることは難しいです。

 骨導補聴器が有効であるかどうか、については耳鼻咽喉科で聴力検査を受けて

もらえれば、わかると思います。聞こえに不自由を感じ、尚且つ骨導補聴器が自身

に有効かを知りたい、ということであれば、耳鼻咽喉科の医師に相談するのが

一番です。(ひとまず聞こえについて不自由を感じられたら、耳鼻咽喉科での受診

をおすすめします)


骨導補聴器の種類について

 骨導補聴器の場合、振動板と呼ばれる振動を頭蓋骨へ伝える部品があります。振動板を

耳の後ろにあて、そこから振動を伝えます。振動板を骨部に埋め込むものもありますが、

それについては後日お話します。

骨導補聴器の形状はメガネ形とヘッドバンド形があります。メガネ形はメガネのつるにマイクやアン

プ、振動板が付いています。振動板は耳の後ろに当てるので、丁度メガネのつるの耳に掛ける

部分にあります。

 ヘッドバンド形はマイク、アンプからなる本体と振動板が分かれています。振動板を当てる耳とは

逆の耳の後ろに本体があり、コードが付いたヘッドバンドを経由して振動板へ音を伝えます。

 
 形状については、一般的なオーダーメイドや耳かけ形補聴器と比べると構造上大きくなります。

メガネ形は現在市販されている一般的なメガネと比べると、つるは太くなります。

ヘッドバンド形はヘッドバンド自体は一般市販ののヘッドバンドと太さは変わりません。

しかし、どうしても本体と振動板を完全に隠すことは難しくなります。メーカーにもよりますが、

小さいもので縦4㎝、横2㎝、高さ2㎝くらいの本体と振動板がそれぞれ付きます。振動板

は耳のうしろにあてます。本体は逆の耳のうしろに付くものと、振動板の上部につくものが

あります。

 振動板と皮膚との接触がゆるいとハウリングが生じることがあります。ハウリングとは

「ピー」や「ポー」という音が補聴器から発振してしまう現象です。

 また、振動板と皮膚との接触がゆるいと、補聴効果が低くなります。

よって、ある程度は皮膚に圧力をかけ振動板を接触させなければなりません。

使用をご検討の際は医師や知識のある補聴器販売員とよく相談することをおすすめします。



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